健康教育士養成の発議者であり、その理念・目的達成が道半ばである
私は、1992年(平成4年)に、米国カリフォルニア州において、小学校保健授業でのヘルスエデュケーターの資格を有したポリスマンによる旬間型ドラッグ教育、保健所勤務のヘルスエデュケーターによる家庭訪問型エイズ教育、ヘルスエデュケーションスペシャリストの資格を有する理科の教師とヘルスエデュケーターの資格を有する保健の教師とのチームティーチングによる保健授業等を踏査しました。いずれも、教育の内的成立要件である目的・内容・方法・評価についての基本的資質・能力を有し、人々の健康課題への要求に寄り添い、学習成果を高めるティチングスキルや教育内容・媒体を駆使して、魅力ある健康教育を展開していました。
このアクティブな教育活動に魅了されて、是非、日本でも展開したく、2001年(平成13年)に、日本健康教育学会(1991年設立)の中に、「健康教育士の養成と研修」委員会(委員長大津一義)を発足させました。資格の普及にあたって、当初は国家資格を得ようと文科省、厚生労働省へお願いに上がったのですが、健康教育と保健指導あるいは教育と指導が同義に解され、健康関連職の中にも少なくなく、大きな障壁となって断念しました。知識の一方的な伝達という伝統的な教育観にとどまらず、人々の潜在能力を引き出し高めると言った教育の本来の理解を周知していく必要性を痛感しました。